体育館のプライバシー

2011.04.01

仮設住宅の「地域社会圏」的配置に関しては、Y-GSAのホームページにアップされているので見てほしい。中田のスケッチがとてもいい。

新聞各社に送ったので、近々記事になると思う。問い合わせ先をY-GSAにしたので、新聞記事を読んで、地方自治体や様々なところから支援の要請があるか も知れない。もし、そういう要請があったらY-GSA生も積極的にボランティア活動をしてください。もちろんぼくもやります。

体育館で仮住まいをしている人たちに対する支援策もいろいろ提案されているけど、注意したいのは、例えば単にカーテンなどで仕切って、個人のスペースや家 族のためのスペースをつくるという方法は必ずしもプライバシーの確保につながらないということ。今までこのブログで何度も取り上げてきたけど、プライバ シーは個室ではない。あるいは家族のための部屋ではない。

私たちは個人がプライバシーの単位、あるいは「1住宅=1家族」をプライバシーの単位だと徹底的にすり込まれてしまっているから、プライバシーというとどうしてもその刷り込みが働いてしまう。
その刷り込みを払拭して、相互扶助を前提とするような共同居住を前提にする。

個人、家族単位ではなくて以下のように仕分けをする。

1.女ゾーン男ゾーンをつくる、
女ゾーンをつくる。着替えをする場所であり、下着を干す場所であり、身繕いをする場所である。できればそれぞれに水場がほしい。体を拭くことのできるよう な設備である。お風呂があるといいんだけど、設備が重装備になってしまうから、どこまでできるか分からないけど、せめてドラム缶でいいからお湯を用意する べきだと思う。男ゾーンはそれほど深刻ではない。あればあった方がいいという程度。

2.幼児の世話ができるゾーン
おしめを替えたりおしりを洗ったり、離乳食をつくったりミルクを飲ませたり。あやしたり。

3.暗いゾーンと明るいゾーン
24時間暗いゾーンをつくる。24時間明るいゾーンをつくる。そこに行けばいつでも仮眠ができる。そこに行けば夜中でも誰かと話しをすることができる。

4.高齢者・要介護者ゾーン
寝たきりになってしまっている人、介護の必要な人。ちょっと時間があればそこに行って誰でも介護の手助けができる。みんながほんの少しの介護をするだけで、介護の負担を軽減することができる。

5.食事ゾーン
誰かと一緒に食事をする。誰かのために暖かい食事をつくる。

なんだかファランステールのようになってきたけど、ファランステール的共同居住はそうか、こういう緊急避難的住まい方には極めて適切だったんだなあと思う。相互に助け合う住まい方である。
どうやら体育館で暮らす時間は阪神淡路の時よりも遙かに長くなりそうだ。体育館のようなおおきな空間をいかにみんなで住みこなすか。真剣に考える必要があ る。特別な素材はいらない。バレーボールやバドミントンのネット、ポールを利用できないか。そこに毛布やシートをかけるだけで、ゾーンをつくることができ ないかなあ。体育館の床はフローリングだから釘で垂木材を打ち付けてベニヤ間仕切り壁をつくれないか。個室をつくるという発想ではなくて、基本的な集団生 活のためのゾーンをまずはつくることが必須だと思う。