向かいあう配置。岩手県の大水住宅課長。

2011.06.16

5月27日、メディアテークでの「帰心の会」の後、盛岡でお目にかかった大水敏弘さん、岩手県の住宅課長である。その大水さんから連絡があった。南アクセ ス、北アクセスの住宅を組み合わせて、向かいあう配置計画が実現されるということである。宮古市第二中学校、釜石市平田多目的グランド、山田町織笠地区の 三カ所で向かいあう形式の住棟配置が実現する。その計画の記者発表を既にしたということである。その新聞記事も送られてきた。

仮設住宅は北アクセス南側採光を基本として造られているために、南アクセスにするためには多少の工夫が必要である。ただ鏡対象で反転させればいいというわ けではない。大水さんは二つの寝室を南北に配置してどちらか一方が南面になるように工夫した。そうすると南アクセス側に配置されたDKと横並びになって、 時には一体利用ができる。つまり結果的ではあるけど51Cに極めて良く似た住戸プランなのである。そのプランを載せたいのだけど、どうやってここに載せて いいのかそのスキルが僕にはない。まあいずれ。でもこのプランは51Cとは全く違う。その外側に対する意識が全く違うからである。閉じていない。向かいあ う住戸、隣り合う住戸とセットになっている。セットになっているという意識と共に計画されている。そこが全く違う。全体の配置計画と住戸プランが一つの セットになって計画されている例は実は極めて少ない。この向かいあう計画はそうした計画の嚆矢である。

プライバシーの尊重だけを目的化するようにつくられているのではなくて、お互いに助け合って住む、それが目的になっている住戸配置計画であり、住戸プランなのである。

大水さんにお目にかかって仮設住宅の話しをさせていただいたのが5月27日である。実現しますといって連絡をいただいたの6月13日、たった17日間であ る。この短い時間で大水さんはよくも実現にこぎつけたものだと思って感嘆した。17日間の間にプランを改良して、各自自体に連絡をとって、きっとプレハブ 協会にも連絡をっとって、説得して説得して実現にこぎつけたのである。すごい人がいるなあ。
3月18日に集まったY-GSA生たち。みんながあのとき、胸騒ぎの中で本気で考えたことが実現するよ。あのとき集まったこと、みんなで話しをしたことをわれわれは少しだけ自慢していいと思う。大水さんのおかげだけどね。

とはいってもただ喜んでいるわけにはいかない。この「向かいあう配置」は7月の中旬から下旬ごろには完成するらしい。できればそこに行って、そこに住む住 民の人たちに会って、この仮設住宅にどう住んだらいいのか話しをしたいと思う。助け合って住むという住み方はこの人たちが既に長い時間の中で体験してきた 住み方なのではないかと思うからである。彼らから教わりたいことが沢山ある。この住戸配置と共に、この住戸配置を最も有効化する住み方はどのような住み方 なのか、そういう話しをしたい。ここでワークショップをしたいと思うので一緒にやろう。